B安全・安心な予防接種を目指して
 赤ちゃんが、はしか(麻疹)に罹ると、二度とはしかに罹りません。このような赤ちゃんは、はしかに免疫を持っていると言います。「免疫」とは「疫(やまい)」から「免(まぬが)れる」ということです。免疫ができる病気は、はしかをはじめいくつか知られていますが、実際に罹ることなく免疫だけを作ることができれば、一生涯その病気に罹ることなく過ごすことができます。その方法がワクチンです。医科学の発達につれ、健康な時、特に赤ちゃんの時期に、あらかじめ免疫を作り上げる工夫が色々となされ、現在では、数多くの病気でワクチンによる予防が可能となりました。

しかし、副反応が心配です。副反応のないワクチン開発が理想ですが、現段階では皆無ではありません。予防接種に伴う発熱や不機嫌、また接種部位の発赤・腫脹、しこりなど以外にも、アナフィラキシーショックや麻しんワクチン接種後の亜急性硬化性全脳炎、急性血小板減少性紫斑病など重篤なものも稀に(100万人に一人程度)報告されています。このうちアナフィラキシーに関しては、接種後1時間程度の観察を行うことで防げます。接種後の注意として、1-2時間は十分な観察を行い、水泳やサッカーなどの運動は控えて下さい。

現在、接種可能なワクチンの種類がどんどん増え、複数のワクチンを同じ時に打つ、同時接種が勧められていますが、同時に2つ、3つを行うことは、赤ちゃんの体に対する負担が一度に2倍、3倍になると考えます。接種回数が減るわけではありません。接種間隔については、注射生ワクチンどうしの間隔は27日以上とされますが、乳児に行うワクチンでは接種間隔をとる必要はなく、翌日の接種も可能です。

 当クリニックでは、より安全な、安心なワクチン接種を目指し、赤ちゃんへの負荷の軽減 のため発熱や接種部位の発赤等の頻度が多い小児肺炎球菌の単独接種を中心にスケジュールを組んでいます。また、ワクチンの接種間隔を、原則1週間とすることで、接種後数日で発症しやすい副反応が認められないことを確認した上で、次のワクチン接種を行っています。さらに、ワクチンによる免疫の獲得が午前中接種で、より良好とされること、感染症患児との接触を回避するため、午前中にワクチン接種の時間帯を設けています。

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