食物アレルギーと仲良く付き合いましょう
2.除去食を楽しむ  
Bアレルゲン別除去食療法の留意点
 各アレルゲンの特徴から以下の点に注意して除去療法に取り入れて下さい。
▼鶏卵:加熱時間が長い程抗原性の低下が得られる。
▼牛乳:アレルゲン性を低減した粉ミルクを利用する(牛乳アレルギー用ミルク)。脱脂や発酵では、アレルゲン性が増大する。
▼大豆:なっとう、味噌、醤油は、アレルゲン性は低い。
▼小麦:アナフィラキシーも多い、アレルゲン低減小麦の利用。大豆代替品(味噌・醤油など)やドレッシング・ルウー等に使用されているので注意が必要。
▼米:アレルゲン低減化米の利用。
▼そば:アナフィラキシーも多い。菓子類、麺類などへの微量混入に注意する。
▼ピーナッツ:アナフィラキシーも多い。ドレッシング等にも混入。ローストするとアレルゲン性が増大。
▼果物・野菜:加熱処理や加工でアレルゲン性低下する。
▼魚:魚肉間の共通抗原性があり、多種類にアレルギーを呈することがある。缶詰や燻製でアレルゲン性の低下が得られることがある。
▼獣肉:牛肉、豚肉、鶏肉間では交差性低い。
C仮性アレルゲンやアレルゲンの交差反応に注意しましょう
 アレルギー体質の赤ちゃんは、ヒスタミンなどの化学物質に対する反応性が強く、食べ物そのものに含まれている場合には、あたかもアレルギー反応と同じような症状を呈します。そのような物質を仮性アレルゲンと呼びます。以下に挙げた食品には仮性アレルゲンが多く含まれています。料理方法を工夫したり、食べ過ぎないようにしましょう。 
仮性アレルゲンを多く含む食品
 ヒスタミン ホウレンソウ、なす、トマト、エノキダケ、牛肉、鶏肉
 アセチルコリン なす、トマト、タケノコ、ピーナッツ、里芋
ヤマイモ、くわい、そば、松茸
その他の野菜・果物
 セロトニン トマト、バナナ、キウイ、パイン
 ノイリン 秋刀魚、冷凍鱈、塩鮭
 トリメチルアミンオキサイド カレイ、鱈、スズキ、イカ、エビ、カニ
その他、食品添加物(着色料・保存料・発色量・着香料・漂白剤)やサリチル酸化合物がある。 
 あるアレルゲン物質に対する特異抗体は、構造の近い別のアレルゲン物質に対しても同じように反応することがあります。これらのアレルゲン物質には交差抗原性があると言います。以下に交差抗原性が認められた抗原を示します。例えばスギ花粉症の方が、トマトを食べて、じんま疹やのどのかゆみを感じることがあります。これは、トマトのアレルゲン物質とスギ花粉のアレルゲン物質の構造が似通っているためにアレルギー反応が生じたものと考えられます。

 明らかになっている各アレルゲンの交差反応性 
牛乳(カゼイン)  大豆
エビ(トロポミオシン )  ダニ、ゴキブリ
ブタクサ花粉 メロン、バナナ
草の花粉 イモ類
カバ花粉 リンゴ、セロリ、サクランボ、ナシ、モモ
ナッツ類、大豆
ラテックス バナナ、アボガド、キウイ、ブドウ、パイナップル
クリ(ラテックス-フルーツ症候群)
魚(パルブアルブミン) 多種の魚類